2026年診療報酬改定のリハビリは、急性期一般病床の早期・休日リハビリが大きく評価されました。ただし急性期病院の体制整備は進んでおらず、包括期の役割は減っていません。
2026年診療報酬改定では、リハビリに関する項目が数多く見直されました。中心は急性期一般病床のリハビリ拡充でした。急性期一般病床の入院直後の早期リハビリや土日祝日のリハビリに高い点数がつきました。
私の支援先の多くは、地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟、回復期リハビリ病棟を持つ包括期の病院です。2026年診療報酬改定の内容が見えてきた頃、院長や事務長から同じ質問を何度も受けました。「急性期病院でリハビリが完結するようになると、うちに来る患者は減るのではないか」という質問です。そして、2026年診療報酬改定から4か月が経ちました。この記事では、2026年診療報酬改定の内容と、実際に起きていることを整理します。
2026年診療報酬改定でリハビリは何が変わったのか?
早期リハビリテーション加算は入院3日目までが1単位60点に引き上げられ、急性期一般病床の評価が拡充されました。一方、回復期リハビリ病棟は実績指数の基準が上がり、包括期と回復期は要件が厳しくなりました。主な変更点は次の表のとおりです。
| 区分 | 項目 | 改定後の内容 |
|---|---|---|
| 急性期一般病床 | 早期リハビリテーション加算 | 入院日から3日目まで1単位60点、4〜14日目は25点(改定前は25点・30日まで) |
| 急性期一般病床 | 休日リハビリテーション加算(新設) | 休日の疾患別リハビリに1単位25点 |
| 急性期一般病床 | リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算 | 加算1は150点(改定前120点)。要件を緩めた加算2(90点)を新設 |
| 急性期一般病床 | 看護・多職種協働加算(新設) | 急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料の病棟が対象。277点または255点 |
| 地域包括ケア病棟 | リハビリテーション・栄養・口腔連携加算(新設) | 1日30点、14日まで |
| 回復期リハ病棟 | 実績指数 | 入院料1は40以上から42以上へ。除外できる患者は3割から2割へ縮小し、「80歳以上」の除外項目を削除 |
| 回復期リハ病棟 | 回復期リハビリテーション強化体制加算(新設) | 入院料1が対象で1日80点。実績指数48以上などが要件 |
| 共通 | 離床を伴わないリハビリ | 所定点数の100分の90で算定し、1日2単位まで |
| 共通 | 病棟専従の療法士の業務 | 疾患別リハビリ以外の業務範囲を明確化。包括期の病棟ではADL評価も業務に追加 |
急性期病院は、入院から3日以内に休日も含めてリハビリを行うと、早期リハビリテーション加算と休日リハビリテーション加算などを重ねて算定できます。国は「集中的なリハビリは急性期で行う」という方針を、点数ではっきり示しました。
急性期病院のリハビリが強化されると、包括期の患者は減るのか?
現時点では、私の支援先と1都9県の届出状況を見る限り、包括期の患者は減っていません。理由は、急性期病院のリハビリ体制の強化がほとんど進んでいないためです。
私は2026年診療報酬改定後、急性期病院でリハビリ専門職の大幅な増員が起きるかどうかを注視してきました。2006年に回復期リハビリ病棟が一気に増えたときは、毎年10人以上を採用する病院が各地にありましたが、今回は、私の周りでそのような動きはほとんど見られません。
届出の状況も同じ傾向です。
関東信越厚生局が公開している届出受理医療機関名簿(令和8年8月1日現在)を、私のほうで集計しました。対象は東京、神奈川、埼玉、千葉など1都9県です。
| 加算 | 届出施設数(1都9県) |
|---|---|
| リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算1(150点) | 104施設 |
| リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算2(90点・新設) | 2施設 |
1都9県で一般病棟入院基本料(急性期一般入院料と地域一般入院料の両方を含みます)を届け出ている病院は1,305施設です。加算1の104施設は全体の約8%、加算2の2施設は0.2%に当たります。
今回新設された加算2を届け出たのは、茨城県と群馬県の各1施設、合計2施設だけです。2施設とも算定開始日は8月1日ですので、2026年診療報酬改定が施行された6月と翌7月の時点では、1都9県で届出が1件もなかったことになります。東京、神奈川、埼玉、千葉では、8月1日時点でも加算2の届出はありません。おそらく、これらの算定が可能だった病院は、もともとリハビリ専門職を多く配置している病院がメインで「新たに大量に採用した」というのは考えにくいでしょう。
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、2024年度の新設時も届出が全体の9%にとどまりました。届け出ない理由の多くは「リハビリ専門職を2名配置できない」「土日祝日にリハビリを提供できない」でした。今回、休日のリハビリ提供量を「平日の8割以上」から「7割以上」に緩めた加算2ができても、人員が足りないという状況は変わっていません。
なお、同じく新設された看護・多職種協働加算は、100施設が届け出ています。この加算は、看護職員のほか管理栄養士や臨床検査技師の配置でも要件を満たせます。届出の数だけでは、リハビリ専門職が増員されたかどうかは判断できません。
なぜ急性期病院のリハビリ強化は進まないのか?
理由は、①急性期病院は救急・手術の強化が最優先であること、②リハビリ専門職が大幅に不足していること、③増員と育成に2〜3年かかることの3つです。
1. 急性期病院の優先順位が別にあります。
新たな地域医療構想では、人口20〜30万人ごとに急性期拠点病院を決める方向が示されています。急性期病院は、救急搬送件数と全身麻酔手術件数を増やすことを最優先にしています。採用も医師と看護師が先で、リハビリ専門職は後回しになっています。
2. 人員がまったく足りません。
厚生労働省の資料によると、病棟に配置されている療法士の数(常勤換算)は、40床あたりで回復期リハビリ病棟の15.97人に対し、急性期一般入院料の病棟は1.19人です。40床の病棟で、稼働率80%、リハビリ実施率50%、1人平均4単位を365日提供するには、休暇の取得も見込むと7〜8名が必要です。多くの急性期一般病床では、今の2倍以上の人数になるため、かなりの増員が必要となります。
3. 増員には2〜3年かかります。
私の経験によると採用活動と入職後の教育期間を考えると、365日体制は計画を立ててから2〜3年かけて徐々に整えるものです。また、その間にも退職や育休があるため、急激に純増していくのは難しいため、2026年診療報酬改定から数か月で届出が増えないのは当然の結果です。
包括期の病院は今、何をすべきか?
やるべきことは、①急性期病院からの患者を早く受け入れる、②病棟でのADL支援を仕組みにする、③回復期リハビリ病棟は実績指数を見直す、の3つです。急性期病院の体制が整うまでの2〜3年が、包括期の病院にとっての準備期間です。私は支援先に次の3つを伝えています。
1. 急性期病院からの患者を早く受け入れます。
急性期一般病床のリハビリ機能拡充が行われない以上、今までのようにリハビリを急性期病院で十分に受けられない患者もいるでしょう。入院が長引くほど摂食嚥下障害や廃用症候群が進みます。包括期の病院が早く受け入れる体制を作り、急性期病院と連携強化することにより紹介元の急性期病院にとっては、平均在院日数の短縮、患者にとっては、摂食嚥下障害や廃用症候群予防というメリットがあり、まさに「三方良し」となります。
2. 病棟でのADL支援を仕組みにします。
2026年診療報酬改定で、病棟専従の療法士の業務にADLの評価と指導が明記されました。リハビリ室での20分1単位の訓練だけでなく、食事、排泄、移動の場面に5分、10分と直接入る関わり(POCリハビリ)を病棟に組み込みます。
ある支援先(A病院:80床)では、急性期一般病棟40床と地域包括ケア病棟40床の構成から、2025年4月に全80床を地域包括ケア病棟に変更し、疾患別リハビリの対象を入院患者の3割程度に絞ってPOCリハビリを中心にしました。リハビリ専門職を増員せずに始めましたが、看護師、管理栄養士、薬剤師との連携が強まり、急性期病院からリハビリ目的の紹介が月10件から15件に増えました。病床稼働率は、2024年度の83%から2025年度の89%へ6ポイント上がりました。
3. 回復期リハビリ病棟は実績指数を見直します。
除外できる患者が3割から2割に減り、年齢での除外もできなくなりました。支援先の回復期リハビリ病棟(40床、入院料1)でも、骨折や人工関節置換術後など軽症の整形外科疾患が多いため、2026年8月の実績指数は46で、回復期リハビリ強化体制加算の要件である48に届いていません。入棟時の評価、目標設定、入院期間の管理を、病棟全体で見直す必要があるでしょう。
経営にどう影響するのか?
包括期の病院の経営への影響は、今後2〜3年は限定的です。2026年診療報酬改定で急性期一般病床のリハビリは点数の面で大きく評価されましたが、体制が追いついていないため、包括期の病院の患者は急に減りません。
一方で、国の方針は変わりません。急性期拠点病院の再編が落ち着けば、次はリハビリ専門職の増員に進みます。そのときに選ばれる包括期病院であるためには、今のうちに「早く受け入れる」「病棟でADLを上げる」「在宅へ戻す」という実績を数字で示せるようにしておくことが必要です。
よくある質問
- 早期リハビリテーション加算は何点になりましたか?
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入院日から3日目までは1単位60点、4日目から14日目までは1単位25点です。改定前は25点で30日まででした。算定できる期間は短くなり、入院直後の評価が高くなりました。
- 休日リハビリテーション加算とは何ですか?
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休日に疾患別リハビリを行った場合に、1単位につき25点を加算できる項目です。2026年診療報酬改定で新設されました。算定期間は「起算日から30日以内の土日祝日」です。
- 地域包括ケア病棟でもリハビリ・栄養・口腔の加算を算定できますか?
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算定できます。リハビリテーション・栄養・口腔連携加算(1日30点、14日まで)が新設されました。入棟後3日までの疾患別リハビリ実施割合が6割以上、土日祝日のリハビリ提供量が平日の7割以上、専任の常勤管理栄養士の配置などが要件です。
- 回復期リハビリ病棟の実績指数はどう変わりましたか?
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入院料1の基準が40以上から42以上に上がりました。計算から除外できる患者の割合は3割から2割に縮小され、「80歳以上」という除外項目は削除されました。よって、今後の回復期リハビリ病棟は、脳卒中患者をいかに確保するかが鍵になります。
- 急性期病院のリハビリが強化されると、包括期の病院の患者は減りますか?
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現時点では、私の支援先と1都9県の届出状況を見る限り、包括期の病院の患者は減っていません。急性期病院ではリハビリ専門職の増員が進んでおらず、休日のリハビリ提供を要件とする加算の届出も低調です。ただし2〜3年後には体制が整う可能性があるため、今のうちに受け入れ体制と実績を整えておくことをおすすめします。